山葡萄に生きる 岩手県野田村 涼海みの丘ワイナリー

北緯40度  海洋性気候

野田村は2011年の東日本大震災と、その後の大型台風と2度の大災禍を受け、住宅500戸余りが大打撃を受けました。しかし、沿岸の背後を囲む高台の山葡萄”涼実紫”(岩手県が定めた原産地山葡萄の名称)は、激しい風雨と塩害に見舞われながらも、”凛”として樹勢を保持しました。山葡萄の存在の意義に勇気を与えられた野田村の村民は、岩手県と周辺地域の関係者に働きかけ、努力の甲斐あり、株式会社のだむら(昭和62年設立) の新規事業として、新たに「涼海の丘ワイナリー」を立ち上げました。

野田村は海岸と丘陵の風光明媚な場所に位置します。北緯40.6度、人口約4000人、特産の”野田塩”と過去の鉱山の採掘坑道で知られた村です。夏季は海流の影響によるヤマセ(偏東風)の発生で、冷涼湿潤になり、冬季は温暖で晴れの日が多く、自然豊かな穏やかな地域です。岩手県は日本最大の山葡萄の産地で、そのうち県の4割がこの野田村に集中しているといわれます。災害からの復興に大きく寄与する意味でも、2016年の涼海の丘ワインリーの設立は、村と地域を明るく照らす嬉しいニュースとなりました。

野田村の山葡萄ワイン 

2017年 リリース  紫雫 MarineRouge《ロゼ》

(中辛口)早熟の野村種を使った、色合いが美しくフルーティーなロゼワイン。甘みとすっきりした酸味のバランスが良いので、料理にも寄添います。

野田村の山葡萄栽培農家は8戸、11haの葡萄畑を有し、野生の山葡萄が15~18度の糖度であるのに対し、栽培葡萄は16~21度となり、質の良いワイン造りに適しています。また、ワインの熟成貯蔵をする村内の旧鉱道の洞窟内が年平均10度、湿度80%であるため天然のワインセラーとして活用しているそうです。協会では日本健康健康ワイン普及指導士 上級講座の研修旅行として、2020年4月に涼海ワイナリーを訪ねる予定です。

山葡萄ワイン”紫雫”の特徴

色は濃い紫、香りは野山を散策している野趣のニュアンスの中に熟したジャムのような果実味、山葡萄本来のしっかりとした酸が後口を引き締めてくれます。 今、飲んで頂いても、山葡萄ファンにはたまらない生き生きとした酸味としっかりとした果実味が癖になる味ですが、あと半年くらい寝かせる事により酸がワインの中に溶け込み、奥にある上質の果実の甘味が現れ飲みやすく滑らかなテイストになります。  涼海の丘ワイナリー 醸造長の坂下誠氏 涼海の丘ワイナリーホームページより

岩手県三陸沿岸の北部地区では、古くから山野に自生する山葡萄を受飲する風習があり、鉄分を多く含むことから滋養強壮、貧血、疲労回復などに効果があるとされてきた歴史があります。
この希少な果汁に思いを込めて、2016年10月に野田村村営の株式会社のだむら(村の特産品の販売会社)、涼海の丘ワインリーが立ち上げられました。そしてこのワイナリーの所長であり、醸造責任者である坂下 誠氏は、村営国民宿舎えぼし荘の支配人から転身され、県内でも数少ないシニアソムリエです。内外のワインの専門家として造詣も深く、これから益々涼海の丘ワイナリーのリリースするワインに期待が集まります。山葡萄ワインをこよなく愛する当会と致しましても、4月の研修が楽しみです。

紫雫 MarineRouge《赤》

(やや辛口)複雑で芳醇な風味を大切にした、ヨーロッパスタイルの赤ワイン。滋味豊かな中にも山ぶどう特有の酸味が後味を引き締めます。(涼海ワイナリーホームページより)

紫雫 MarineRouge《樽熟成》

(辛口)樽で長期熟成させた赤ワイン。熟成により山ぶどうの旨みが醸し出され、より奥深い味わいが楽しめます。(涼海ワイナリーホームページより)

研修の様子は今後も当ホームページで報告させて頂きます。どうぞお楽しみに!


【涼海ワイナリー】
〒028-8202 岩手県九戸郡野田村大字玉川5-104-117
・ 電話番号:0194-75-3980
・FAX番号:0194-75-3980
・営業時間:9時~18時
・定休日:不定休
・設  立  日:2016年4月1日
・醸造施設:1棟 183.42㎡
・休憩等施設:1棟69.56㎡
・醸造機械:1式
 オンラインショップ
 野田村山葡萄倶楽部

参考文献:見えてくる日本ワインの未来~真説 日本ワインの源流~より