長野県山葡萄ワイン探査紀行
伊奈ワイン工房=有限会社ムラタ
所在地: 長野県伊那市美篤5795
取締役社長、醸造責任者 村田純
現在、山葡萄栽培農家40軒、リンゴ、キウイ、梨の果樹栽培家30軒の原料の醸造を受託、また伊那市農政部と信州大学農学部(伊那市内のみで開校)の選抜山葡萄のワイン醸造を引き受けている。長野県長和町のオードリーファームの山葡萄も同社で加工。
伊奈ワイン工房の存在は南信州の果樹栽培家にとって、醸造受託会社として、まさに救世主的存在である。
葡萄を含めた果樹のワイン醸造は最低100キロから受託し、地域の産業の活性化に貢献している。最近、伊奈ワイン工房も契約栽培の山葡萄により、自社ブランドを作出。
話題としては、信州大学が選抜した山葡萄[山紫]═県登録W3、を伊那市が本格的に市のワインとして販売することになったとのこと。
なお、帰京後知ったのだが、津軽ぶどう楽園の須郷貞次郎代表の次女が伊那市に嫁ぎ、結婚の引出物に伊奈ワイン工房の山葡萄ワインを貰ったそうで、今も大事に飲まずに持っているとのこと。
伊那市にとって山葡萄ワインは市の産品として人気があり今後販売を推進していく方針だ、とのことです。
品種としては、日本の土着品種コワニティ系。
株式会社林農園=五一ワイン醸造元
代表取締役 林幹雄
現代表は91歳の第一線で活躍中。父君の五一代表は101歳で当時、長野の長寿一でした。 近在の山葡萄栽培農家15軒から20トンを引き受け山葡萄ワインのほかジュースと他のワインにブレンドしている。
感銘したのは、栽培農家に寄り添い、全て買取り、終生、先代からの契約農家との約束を守り徹すことを信条としているとのこと。
山葡萄ワインは欧米品種のワインに較べ高値のため、360mlの小瓶で販売を続けている。品種は和名シラガぶどう、学名vitis amurensis。
長野県では中国からのDNAであるが、在来種では岡山県で自生している、とされる。
オードリーファーム
長野県小県郡長和町大門3518ー781
代表 奥山次郎
本年のファームの山葡萄は、気候温暖化の影響を受け、三分の一ほどが日焼けによりワイン加工ができない被害を蒙っていた。
だが、その苦難を試練として、来春には日焼けシートで覆い例年の収穫量を確保するとの不屈の意欲を示している。
研究熱心な奥山氏は地元道の駅マルメロに山葡萄ワインと山葡萄スパークリングのほか、山葡萄のジュース、ジャムのほか、道の駅内の日曜雑貨のブースに山葡萄の石鹸、化粧品、整髪液などの委託加工の山葡萄による各種製品を販売している。
ちなみに山葡萄のワインとジュースは伊奈ワイン工房で委託製造していて、長和町の特産になっている。
有限会社ウッドベルファーム
長野県上田市武石小沢根389ー7
代表取締役 鈴木三千夫
同社代表は若い頃に国立の農業科学化研究所と日本葡萄愛好会を立ち上げて、国内でいち早く山葡萄と有機農業の開発研究の先達となった澤登晴雄先生に私淑し、長野県に移住、澤登先生の意思を継ぎ、農産事業に推進し、現在、日本葡萄愛好会の三代目の理事長も努めてる。
上田では現在、主に生食用の中野パープル、サンシャインマスカット、巨峰などを栽培しているが、主力の産品はトマトの桃太郎などの優良品を大規模に産出、成城石井や生協に出荷している。
このほか、米やカボチャなども産出し、若いスタッフのほか、私はの訪問時は長野県農業大学校の研修生が泊まりこみで、ハウス栽培の管理やトマトの摘みとり、出荷の梱包に勤しんでいるのが印象であった。
以上 、会長 濱野の信州山葡萄探査紀行でした。収穫時の多忙な折にも、快く迎えてくださった皆さまと、同紀行に同行し2日間の運転や道中サポートをしてくれた協会の理事和田哲朗氏に感謝申し上げます。
”山ぶどうのワイン”の紹介
今回訪問した皆さまが生産されているワインをご紹介します。左から…
・伊那ワイン工房 山葡萄のワイン(辛口)2019
長野県産の栽培山葡萄のみで作った辛口の赤ワイン。鮮やかな赤色と強い酸味をもち山あいの野性感と素朴な風景を思わせます。辛口ですので焼肉や中華料理など油の強い料理とぞうぞ。Alc11% ※裏ラベルより
伊那ワイン工房ホームページ
・山ぶどうのワイン 五一ワイン 2019年
1911年創業の林農園は「良いワインは、良いぶどう作りから」の考えのもの。ワインづくちの伝統を積み重ねています。本品は信州大学と弊社で共同開発した山ぶどうの優良果のみを厳選し、醸造した山ぶどう100%のワインです。山ぶどうの持つ、独特の香りと、酸味をお楽しみ下さい。山ぶどうは、他の品種に比べ多くのポリフェノールを含むワインとなっています。Alc 12% ※裏ラベルより
五一ワインショッピングサイト
・山葡萄ワイン(辛口)2019 オードリーファーム
Alc 9% 長和町産のオードリーファームで栽培された山ぶどうを有限会社ムラタさんに委託醸造されています。オードリーファームさんにはワイナのほかにも山葡萄種の粉末やジャム等、山葡萄の関連商品を販売されています。山葡萄のお茶は、ワイン醸造過程の一次醗酵にて破砕したぶどうと果を一緒に醗酵させますが、二次醗酵時に果皮、果肉、種など取り除いた物(ポマス)を乾燥させたものだそうです。
オードリーファームホームページ