2020年 推薦の一冊

<日本有機農業学会20周年出版 >日本有機農業学会監修「有機農業大全」


この本は、有機農業の歴史、世界のオーガニックの動向、様々な学者や実践者の知見、専門的な有機農業における問題点や技術についてまで、日本の有機農業の世界がすべて知ることのできる、まさに大全です。
有機農業に携わる人向けの専門者ですが、実際に農業に携わることのない一般消費者にも大変に価値の高い本です。

今もオーストラリアは燃えていて、10億を超える動植物が失われています。
世界中で想像を越えて起きる自然災害に対して、私たちはどんな心持ちで生きれば良いのか?この本にはその答えすら見つかる気がします。有機農業とは、ただ単にノンケミカルを意味しているのではなく、健康、生態的、公正、配慮の4原則によるということ。そしてこの本に書かれている事を真に理解すれば、毎日の行動や態度に迷うことなく、シンプルに地球と共に生きられるのでしょう。
たとえ今、ひとりぼっちで生きていると感じる人がいたとしても、この本を読み理解し、目の前にあるご飯粒が、穂を実らせたそのたんぼ、水、植物、鳥類、動物、昆虫、微生物、そして人間、すべての循環を知り、自分がこの地球に住まわせてもらっている事に気付き、目を向ければ、自分は決してひとりで生きているのではないということに気付けるでしょう。そして、大地を感じて大きく深呼吸することで、自分自身のあり方がみえてくるかも知れません。
地球の46億年の歴史に比べたら僅か100年たらずの人間の人生ですが、一人一人の選択は大きいです。地球に、そして他者に配慮した生き方であったかそうでなかったかは、その人にとって100%の問題なのですから。有機農業には自然と生きる謙虚な心が自然と湧き出る力があります。ぜひ、ゆくりとお読みください。

有機農業大全 持続可能な農の技術と思想

2019年12月20日●第一刷発行  編者●澤登早苗・小松崎 将一 
 監修●日本有機農業学会 発行所●コモンズ