2019年に発足致しました日本健康ワイン&フーズ協会は、2022年より「日本山葡萄ワイン愛好会」と名称を変更し、より山葡萄ワインの振興に特化し活動することに致しました。

この会の発足をお話する時、稚著 見えてくる日本ワインの未来の執筆のきっかけとなった、ワイン造りへの深い愛情を持った、個性的ですばらしい日本ワインの作り手さんたちとの出逢いなしには語れません。

 東北の葡萄栽培地とワイナリーを訪ねた折に、我が国の考古学上での縄文時代以前より、日本列島の各地、主に東日本の山地や中国山地に自生している山葡萄の親株から採取した子供にあたる穂木を、35年を超える歳月をかけて大事に栽培し続けてきた葡萄栽培技術の達人と、その山葡萄の果実を原料として、試行錯誤を重ね良質なワイン造りに挑戦している醸造の匠たちと出逢いました。

 これまで国内の大中のワイナリー各社が、日本の国土と気候に適さない幾つかの悪条件を踏まえ、欧州系葡萄品種の栽培とワイン造りに励み、時に大量の農薬の使用と雨よけの工夫等によって、本場欧州ワインの品質に迫る良質なワイン造りを目指している昨今、私が出会った東北の達人や匠たちは、寒冷地において、日本古来からの山葡萄とその交配種による、有機栽培の葡萄を原料に‘真‘の日本ワイン造りに生涯を賭けてた人々でした。 そこで真っ当な日本ワイン造りの伝承を守る、という真摯な姿に触れ深い感銘を受けました。

 ワインの本場ヨーロッパや、新興中国での機械化され量産されるワイン造りではない、北の大地での無化学農薬の葡萄栽培と、古代の手作りワインの原点に近い技法と思念が内在していました。彼らのワイン造りのあり様は、過去に私が巡ったイタリアやフランス各地のワイナリーや、ここ20年間関わってきて中国大陸での大規模な葡萄畑やワイナリーでの体験とは異質な世界であり、“ワイン造りの原点”でした。

 古来より伝わる日本の風土に適した土着品種への理解、農薬に頼らない葡萄栽培、彼らの独創的な日本ワイン造りには厳しい局面も多くあります。しかしながら、日々 自然環境と闘う彼らと共に、この自然の恵みである「日本の土着品種によるワイン」、「身体が勇気づけられるワイン」を愛でる喜びは日本人として格別な体験です。

今こそこのような造り手さんを応援し、皆さまと共に持続可能なエシカル消費について考え、ご一緒に日本山葡萄ワインの世界を楽しんで参りたいと存じます。

日本山葡萄ワイン愛好会
会長 濱野 吉秀

※エシカル消費(ethical=論理的な)とは、 環境保全や地域・社会への考慮した消費活動・購買行動のこと。
いつ、どこで、誰が、どうやって 作ったものかを考えて選択することで、社会貢献することです。具体的にはフェアトレードや地産地消もその一つです。日本では東日本大震災の際に、地域応援の為に地元企業の商品を購入するという考えにより活発になりました。